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「テレフォン人生相談」に学ぶジャズ上達の秘訣

少し前、コロナ禍の最中、YouTubeで「テレフォン人生相談」のトリコとなってしまい、下手すると延々と聞いていました。

相談内容は、嫁姑問題など、よくある話といえばよくある話が殆どなんですが、これが何故か飽きずに聞けちゃうのが不思議です。

何が見事かって、相談を受ける先生方が、相談者の悩みの本質を探り出し、短い時間で解決のヒントを言い当てる様が実に見事。

その深い洞察力、豊富な経験に、ただただ感嘆して聞いていたのですが、ふとある時、胸を突かれる言葉に出会いました。

「人は自らの本当に向き合わないといけない課題に直面することが、何より怖い。その恐怖から逃れるために、身近なところに問題をつくり出し、悩んでるフリをする。悩んでる方がラクだから。でも本当は悩んでるのではなく、迷っているだけ。自らの課題に直面する勇気を持った時、人は成長する。」

こんな感じだったと思います。

少し具体的に言うと、最初、相談者は「子供の教育のことで悩んでいます。」と相談されるのですが、先生がどんどん話を聞き出していくと、実は悩みの本質は夫婦関係にあり、配偶者との関係の拗れが問題だということがわかっていき、相談者もそのことに気づき、「よかったですね。これであなたの問題は解決したも同然ですよ。」ということになっていくのです。いやぁお見事!

さあこれをジャズ上達の道に応用してみます。

学ぶべきことが実に多く、問題の山が道を塞いでいるわけです。

そこで普通は教則本を読んだりして、茫然とし、わかるところから、あるいは簡単そうに見えるところから取り組んでいくわけです。

そこでけっこう大変な努力を積み重ねて、ある程度は上達していくわけですが、一方で壁も感じはじめる。特にアドリブ関連。どうやったら、プロのように流暢にラインを作れるようになるのか!「音で会話」ってなんなん!?「ノリ」ってなんなん?!

しかし大抵の人は、だんだんと本質的な課題から目を背け始め、サックスで言えば、「マウスピースが、、、」とか、「とにかくロングトーンが、、」とか、そういうことで悩んでるフリが始まるわけです。悩んでるとラクだから。

しかし一方で、確実に壁を乗り越えていく人もいます。そこで乗り越えられない側の人からすると「あの人には才能があるから。」で片付けてしまいがちだと思うのですが、まあそう言ってもいいのですが、本質的問題に気づき、できることから取り組み始めることができるかどうかが、実は分岐点なんだと思うのです。

とは言え、自分の課題が何であるかを見極め、尚且つそれを直視し、具体的な努力を継続するなんて、言うは易し、するは難し、そのものですよね。そこで大事なのが、「本当のことを言ってくれる指導者や仲間」という環境ですよ。

僕の経験からしても「ナカタ君、それはジャズじゃないよ。」みたいな手厳しい指摘をいっぱい受けてきました。その時は恥ずかしいのですが、よく考えれば、指摘されずに気づかないままの自分で居続けることの方が恥ずかしいわけですから、本当にありがたい指摘だったと思います。

というわけで、趣味でジャズに取り組むエンジョイ派の方こそ、自分の本質的課題を見極め、それを克服するための方法論を考えるなんて難しいので、相性のいい指導者を見つけて、その部分をお金で買う工夫をした方が早いし、かえって安上がりかもしれません。そしてそこに気づいたので、僕は指導者として、メソッド及びカリキュラムを実際大幅に変えました。

志の高い人は、独学でももちろん良いと思います。自分で自分を分析できたら、やっぱり強いし、結果的に理解もより深くなりますしね。

というわけで、悩んでるフリをするのはやめて、勇気を持って本当の自分と向き合う。これがテレフォン人生相談から僕が学んだジャズ上達の秘訣です。

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この記事を書いた人

1970年生まれ、熊本県出身熊本市在住。Tenor Saxophone奏者。
‪熊本市中心市街地活性化プロジェクトStreet Art-Plex Kumamoto「JAZZ‬
OPEN」のプロデューサー、上通り並木坂の「えびす祭り」のステージ企画プロデューサー、熊本シティエフエム「しろひのBaby Talk Jazz
Study」番組パーソナリティを務めている。2009年、自己レーベルFelidae's Recordsより、初アルバム「Tiny
Purple」(JASRAC R-0940557)を発表。北九州市立大学ジャズ研究会K&K出身。

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